本紹介「L’Art du Livre Origami」「CHIYOGAMI 」

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BOOKS

L’Art du Livre Origami

Jean-Charles Trebbi  / Editions Alternatives, 2021.10 Paris
ISBN: 978-2-07-291467-6 / 32€

折本をたくさん集めた本。折本は6つに分類され、写真のみならず、展開図がついたものもあるところに、独自の著述の努力が見える。コレクションとしても、作る人の立場でも非常に参考になる本。6つの章は「Origami Simple」「Origami Modulaire」「Kirigami」「Labyrinthes」「Livre Tunnels」「Mini-Livres」。
私の豆本も「Origami Simple」に二作品、「Kirigami」に一作品掲載されている。著者からの依頼で、ウェブサイトに掲載していた作品の印刷用画像を送り、構造図を描いて協力した。編集の意見が随時入り、コロナの影響で出版は半年遅れたが、無事に発行され、好評ですぐに英語翻訳版が検討されているそうだ。
掲載作品はどれも見応えがあり、今見られる世界中の素晴らしい折本を、著者の視点でリサーチして集めたと感じられる。アイデア帳として楽しめ、作品写真だけではわからない展開図が大変に参考になる。ページを折り畳んで本になる深みが、現代アートとして味わえる一冊。

chiyogami

CHIYOGAMI  -Hand Dyeing Japanese Paper- Washi Yuzen –

楞川かおり (かどかわかおり)
遊タイム出版、2021.11 大阪市
ISBN: 978-4-86010-362-0 /  10000円+税

千代紙の見本帳が、アートブックのような体裁で登場した。黒箔のタイトル文字、アルバムを思わせるハードカバーの手触り、開きの良さ。冒頭には職人たちの仕事風景のグラビア写真が黙々と続き、吸い寄せられる。巻頭言とあとがきを読むと、千代紙の置かれている立場の現実が胸に迫る。
これまで、海外のアーティストが千代紙を作品に取り入れているのを見ると、なんだか悔しい気がしていた。千代紙はいくつもの会社でそれぞれのデザインで作られている。ある程度のロットがあれば染色を変えたり抜くなどの相談に応じられるそう。
この本には、千代紙版元の一社であるカドカワ株式会社が120年作ってきた千代紙、そして現代アーティストに依頼してデザインした新作までが一冊に綴じられている。トレーシングペーパーに紙の名前と説明が日英二か国語で印刷され、それを一枚めくると千代紙現物が現れる。千代紙をめくる時の、紙のしっとりとした厚み、シルクスクリーンによるインクの盛り、金のゆらぎを味わいたい。
この本を知ったのは、著者を知っていたから。2018年UAEで行われた国際ブックフェアに日本国が招待された時、私は着物を着て豆本のワークショップをし、楞川さんは折紙のワークショップをされた。その後この本が上梓され、一万円という価格に気合を感じつつ、手に取って感動した。
紙見本帳として紙を注文する時は、紙に味気ないロット番号はつけたくなくて一枚ずつ名前をつけたので、紙の名前でオーダーして下さいとのこと。(以上2点、赤井都)

 

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